デジタル介護士 ぱんあた(Panda attack)です。
昨年、私の実父が長期の入院をすることになりました。
入院前までは杖と車いすを使って移動し、段差も小さいものであれば超えることが出来ていたのですが、退院後は杖で歩くことが困難となり、車いすでの移動が主となりました。
実父は週に3日ほど病院に通わなければいけないのですが、車いすから助手席への移動が困難となり、現状の自家用車には乗れない状態になったのです。
そこで、私と妻と実母で新たな方法を模索しているところに、福祉車両という選択肢が挙がりました。
私たちの理想とする福祉車両の条件は以下の通りでした。
- 60代の実母が運転するのに負担がかからない
- 車いすごと乗り込める
この条件から私たちは軽車両でスロープタイプの福祉車両の購入を検討しました。
今回は私たちが調べたスロープタイプの福祉車両の特徴を、運転する介助者の目線と介助を必要とする方の目線の両方から説明したいと思います。
Contents
スロープタイプの特徴
スロープタイプとは介助を必要とする方をスロープを使って車椅子ごと乗せることができる福祉車両のことを言います。
介助を必要とする方の乗り降りは車両の後ろの面からになります。車両の後ろの面からスロープが出せるようになっており、そのスロープが地面に接地するため、車いすのまま安定した乗り降りが可能です。
運転する介助者の目線
スロープタイプには普通車両、軽車両の両方がありラインナップも豊富です。運転する介助者としては、介助を必要とする方の通院用やレジャーでの遠出用など、用途に合ったタイプを容易に見つけることができます。
特に軽車両なら、普通のタイプと同様に小回りが利くので介助者も安心して乗れるのではないかと思います。
では、実際に車いすの乗り降りに関してですが、スロープは見た目よりも急勾配です。介助者が車いすを押してスロープを駆け上がるのは大変です。
そのために、乗り降りの補助機能として電動固定ベルトがあり、車いすに乗った介助を必要とする人を引き上げることが出来るのですが、慣れないうちは操作が難しいです。
併せて、スロープの幅と車いすの車輪の幅に余裕がないものが多いので、介助を必要とする方の乗り降りには注意が必要です。スロープ上での脱輪にはくれぐれもご注意を。事故の原因になります。
できれば、介助者が事前に介助を必要とする方の乗り降りを想定して練習をしておくことをおすすめします。
ちなみに私たちは、実父の退院1週間前に納車してもらい、それから何度か練習をしました。
練習内容は以下の通りです。実父が乗るまでに3回練習しました。
- 私が乗った車いすに固定ベルトを取り付けスロープを上る動作の確認
- 車いすを固定した状態で実母に運転してもらい運転中の視界を確認
- 停車時にスロープを降りる動作と私が乗った車いすの固定ベルトをはずす動作の確認
なお、運転中の視界に関してですが、車いすに人が座っている状態で運転するときはルームミラーでの後方確認は難しいと思います。バックモニターがない場合、後方の視界はサイドミラーで確認するようにしてください。
介助者の目線から気になることのまとめ
- 普通の車両と変わらない運転が可能
- スロープは見た目よりも急勾配で駆け上がるのは大変
- 車いすの幅とスロープの幅を考える・車いすの脱輪に注意
- 電動固定ベルトを用いての操作が最初は難しい・車いすの脱輪に注意
- 本番までに車いすに乗った状態の乗り降りや運転を練習しておく
- 運転中においてバックモニターがない場合の後方の視界はサイドミラーで確認する
介助を必要とする方の目線
運転する介助者の目線と同じくらい介助を必要とする方の目線も大切であると思います。
福祉車両に初めて乗る方は不安になるかもしれません。
そこで、練習の際に私が車いすで乗った経験から気になることをまとめておきます。
最初に気になるのは、やはりスロープの勾配です。車いすに乗ってスロープを駆け上がると、その勾配の急なことに驚かれるのではないかと思います。
また、車に乗り入れる瞬間に頭をぶつけるんじゃないかという感覚もありました。
車いすで乗り降りしないと感じることができない感覚がたくさんあると思うので、事前に『少し急な坂だけど大丈夫』とか、『頭上に当たらないから大丈夫』ということを前もって声掛けするだけで、安心して乗ることが出来ると思います。
また、車内では介助を必要とする方のシートベルトはもちろんのこと、車いすも電動固定ベルトで固定するので、走行中も安全です。
それと、もう一つ。車いすは固定されているものの、乗り心地は車いすなので、車のシートに比べるとイマイチです。スロープタイプの福祉車両は近距離の移動に使用することがおすすめです。
介助を必要とする方の目線から気になることのまとめ
- スロープでの乗り降りの前に安心・安全を伝える声掛けを
- 運転中はシートベルトと固定ベルトであまり揺れないので安全
- 乗り心地は結局のところ車いすということでイマイチなので近距離の使用におすすめ
まとめ
スロープタイプの福祉車両についてのお話でした。いかがでしたか?
最近は介助者も高齢化していることもあり、介助量を軽減することが求められていると思います。
ただ、現状の福祉車両は介助量の軽減に特化すると、操作が難しくなってしまうところもあり、高齢のユーザーにはつらいところであると思います。
とりあえず、私の実母も今では立派に福祉車両を扱えるようになり、実父も乗ることに慣れてくれたようですので一安心といったところでしょうか。
私自身も福祉車両の購入を通してたくさんの学びがありました。
私たちも年齢を重ねると新しいことを覚えることが苦手になり、便利なものになかなか手が出しにくくなるかもしれません。
そうならないためにも、一見苦手だと思えることでも着手できる前向きな姿勢をいつまでも忘れないようにしたいものです。