素晴らしい人生

次世代の暗号技術 量子暗号通信とは

 デジタル介護士 ぱんあた(Panda attack)です。

 近年、インターネットを通じて、たくさんの情報が暗号化されてやり取りされるようになりました。

 一度に取り扱う情報量が増えるとともに、それに見合う形でコンピュータの性能も格段に向上しています。

 ただ、コンピューターの性能が上がることにより、不正に暗号を解読されて情報を抜き取ることが容易に出来てしまい、危険性も高まっています。

 そうした被害を防ぐ技術として、2020年10月、“絶対に解読されない”次世代の暗号技術として、東芝が量子暗号通信と呼ばれる技術を来年度、事業化すると発表しました。

 今回はこの次世代の暗号技術である量子暗号通信について考えていきたいと思います。

 どうして量子暗号通信が気になるのか

 まず、現在広く用いられている暗号方式について少しだけ説明をします。

 現在の暗号方式は解読に必要な計算量が大きければ、実用的に意味のある時間内には解読できないという大前提のもと、安全性を保証しています。

 このような安全性を計算量的に安全な状態であると言うのですが、計算機ハードウェアや解読アルゴリズムの進歩によって計算速度が上がれば、容易に解読されてしまう可能性があります。

 たとえば、量子コンピュータの実用化の目処がたてば、今の暗号がすべて容易に解読されてしまうこともあり得るのです。

 私個人の意見ですが、コンピュータの性能の向上を見据えて、理論上どんなコンピューターを使っても解読できない、次世代の暗号技術である量子暗号通信を研究開発することは、これからの未来に必要なことだと思うのです。

 量子暗号通信とは

 では量子暗号通信とはどのような技術なのでしょうか?

 量子暗号とは、その名の通り量子力学を応用した技術で、光の最小単位である光子の持つ量子力学的な性質を利用しています。

 量子暗号通信は、情報を暗号化したものをやり取りするのとは別に、その情報を暗号化したものを解くために必要になるカギ(暗号鍵)を分割して光子1つに対して1bitの情報を乗せて送る方法のことです。

 光子は量子力学的な性質として、観測されるとその状態が変わるという性質があり、この性質を利用すれば、サイバー攻撃などで暗号鍵の情報を盗聴や解読された瞬間に光子の状態が変化することで、盗聴や解読に気付くことができるので、理論上、伝送中の盗聴や解読を確実に検出できるようになります。

 この技術では、盗聴や解読で光子の状態変化を察知した時点で、その暗号鍵を自動的に無効にし、盗聴や解読されていない情報で、自動的に新しい鍵を作る仕組みになっています。

 つまり、暗号化された情報を解くのに使うことができる鍵は、盗聴や解読されていないもので構成されるということになり、理論上、絶対に解読できないとされているのです。

 まとめ

 今回は次世代の暗号技術である量子暗号通信についてお伝えしました。

 私自身も、ここ数年、スマートフォンが普及して、電子マネーなどを使うようになり、お金を持たなくても電子決済で済ませてしまえる便利な時代が来ていることを実感しているところですが、それと同時に、電子マネーの不正送金などのニュースを見ると、セキュリティーの脆弱性から不安を感じることもあります。

 量子暗号通信のメカニズムを知ると、早く実用化されることを心待ちにしてしまいます。

 併せて、量子コンピュータの開発も進んで実用化されれば、ブロックチェーンの技術ももっと世界中に広まり、今以上に便利で安心な世の中になるはずです。

 新しい技術を事業化するというニュースにはいつも心を動かされます。私は、しがない介護士ですが、新しい技術を開発したり研究したりする方達を陰ながら応援しています。