介護関連

利用者の心に寄り添えるユマニチュードの実践

 デジタル介護士 ぱんあた(Panda attack)です。

 前回、利用者の心に寄り添えるユマニチュードの基本の記事を書きました。

 今回は実践編ということで、基本の4つの柱のうちのいずれか複数使って行うマルチ・モーダル・コミュニケーションを中心に書いていきたいと思います。

 マルチ・モーダル・コミュニケーションとは

 マルチ・モーダル・コミュニケーションとは、ユマニチュードの4つの柱である、”見る”と”話す”と”触れる”のうちの2つを行うことを指します。

 具体的には、以下のようなアプローチがマルチモーダルコミュニケーションになります。

  •  相手の正面に立ち同じ目線の高さで話す(“見る”と”話す”)
  •  手のひらの広い面積でやさしく触れながら話す(“触れる”と”話す”)

 マルチ・モーダル・コミュニケーション…言葉では難しそうですが、もしかするとみなさんが意識せずとも既に実践していて、利用者様との意思疎通に成功した経験を思い出したり、自分の多用していた技だったという方もいらっしゃるかもしれませんね。

 そして、相手の心に寄り添うためにはそれぞれの段階があり、どの段階においてもマルチ・モーダル・コミュニケーションを用います。

相手の心に寄り添うためのステップ

マルチ・モーダル・コミュニケーションを用いて、実際に介護を行う手順は以下の通りです。

  1.  出会いの準備
  2.  介護の準備
  3.  感情の固定
  4.  再会の約束

 このように記載すると専門的な技術のように思うかもしれませんが、実際のところは私たちが普段から気を付けているマナーと同じ手順なのでイメージも湧きやすいと思います。

 では、次は実践方法の説明です。

ユマニチュードの実践方法

出会いの準備

 自分が来たことを相手に知らせて、「これから介護をします」と予告をします。知らせるたびに相手の反応を待ち、少しずつ自分の存在に気づいてもらいます。

 実際に行う動作は次のようなものです。

  •  部屋への訪室の場合はノックを3回する
  •  大部屋の場合はカーテンの前で名前を呼んで3秒待つ
  •  難聴の方にはベッドの足元部分をノックする

 また、ノックをコンコンコン…とゆっくり叩くのと、コッコッコッと素早く叩くのとでは相手の感じ方も変わってくると思います。ドアのノックをゆっくり叩くことはすぐにでも実践できると思います。

 間違った出会いの準備は以下のようなものです。これでは相手の心に寄り添えなくなりより良い介護ができなくなります。

  •  声をかけずにいきなり腕を掴む
  •  カーテンをいきなり開ける

介護の準備

 介護について同意を得るプロセスです。このステップでは、以下のことに注意します。

  • 正面から近づく
  • 相手の視線をとらえる
  • 目が合ったら2秒以内に話しかける
  • 最初からケアの話はしない
  • 身体のプライベートな部分にいきなり触れない
  • 3分以内に合意がとれなければ後にする

感情の固定

 マルチ・モーダル・コミュニケーションによる介護が終わったら、相手に気持ちよく介護ができたことを伝えて、次回の介護につなげます

  • 「お風呂さっぱりしましたね」
  • 「前よりも足が上がるようになりましたね」
  • 「私はとても楽しかったです」

 出来るだけ前向きで肯定的な言葉が相手に良い印象を残します。相手に残った良い印象は次の機会にも「この人は悪い人じゃない」という印象として残りますので、次回の介護に繋がるということです。

再会の約束

 最後に《再会の約束》をします。

 「また来ますね」

 「次は○○時に来ます」

 「またお風呂入りましょうね」

 これは、記憶ができない方にも大切です。前述、感情の固定のダメ押しみたいなものです。ここでも、出来るだけ前向きで肯定的な言葉が相手に良い印象を残しますので、次回の介護に繋がります。

まとめ

 ユマニチュードを実践して感じることは、まさに「北風と太陽」の世界観だなぁと。

 コミュニケーションにおいて人の気持ちを知るために、隠れた心を北風の如く無理やり剥がすようなことはできないのだと思います。やはり、優しく温かみのある太陽の光こそが隠れた心を照らすことができるのかもしれませんね。

 時間に追われる介護の現場では、実践はなかなか難しく、周囲の理解を得るのも大変です。しかし、信頼関係の構築のために些細なことからでも実践してみれば、利用者様との関係に良い変化があるかもしれません。

 また、ユマニチュードは認知症ケアとして注目されていますが、ケアを必要とするすべての方への活用が可能です。ひょっとしたら、日常のコミュニケーションにも応用できる部分があるのではないでしょうか。

また、この技法は使用する人も「よかった」と満足できる技法なので、ぜひ活用してみてください。